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をした国に裁判管轄権があるかどうかということである。これは外国裁判所の判決の承認および執行をする場合に特有の問題であって、間接的一般管轄権と呼ばれている。
裁判管轄権の有無については、訴訟の提起された裁判所が職権で調査し、判断すべきものである。管轄権の有無は、訴訟提起の時を基準とする。国際的裁判管轄権については、現在、超国家的な原理・原則は存在しないので、各国において、国際的裁判管轄権に関する規則を設けて、これに基づいて判断すべきであるが、わが国を含めて、明文の規定をもたない国が多い。
(2)合意管轄
国際取引で最も多くみられるのは、管轄に関する合意である。管轄に関する合意とは、当事者間において、特定の裁判所または一定の範囲の裁判所を管轄裁判所とする内容の合意である。管轄の合意は、法律上の管轄裁判所のほかにも管轄裁判所を認めるもの(付加的合意)と、法律上の管轄裁判所を排除して、特定の裁判所のみを管轄裁判所とするもの(専属的合意)に分けられる。管轄の合意の効力は、結局、訴訟事件の提起された国の民事訴訟法の規定によって判断されることになる。すなわち、その国で管轄の合意を認めていない場合、または他に専属管轄権(exclusive jurisdiction)を有する国がある場合には、管轄の合意は効力を有しないが、それ以外の場合には、有効であると解するのが普通である。わが国の裁判所に提起された渉外的訴訟事件について、管轄の合意がある場合には、
?その事件が特定の国の裁判所の専属管轄に属しないこと、?合意によて指定された国の裁判所がその合意を有効として裁判権を行使しうることの二つの要件が満たされるならば、合意管轄を認めてよいと解されている。
3. 当事者
(1) 外国人の地位
外国人がどのような権利義務を有するかは、具体的な権利関係について適用される法律によって決定される。これに対して、国内の法律で外国人の権利義務について制限を加えている場合がある。外国人の権利義務に関する規定は、実体法だけでなく手続法にもありうる。現在、訴訟手続法上、ほとんどの国では内外人の平等を原則としているが、個々の法律で外国人について内国人と異なる扱いをしていることもあるので注意を要する。通常、二国間の友好通商航海条約において、それぞれ相手国の国民の法律上の地位について定め

 

 

 

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